私の祖父が生前過ごしていた本家は、蔵があり、ししおどし音が響く和風庭園に囲まれた、瓦屋根のとても日本らしい和風の感じでした。
戦争時代から平和を願う世代には、多くの人に親しまれていましたね。
当時小さな私は、その立派で素晴らしい価値を知ることもなく、庭師の手入れも気に留めることもなく、いとこたちと走り回りよく遊んでいたのです。
ある日、鯉が泳いでいたとはいえ、わりと浅めの池で溺れてしまった私。
時を置いて、いとこのひとりがまた同じ事に。
その後、池からは水が抜かれ、怪我をするかも!?と大きな石などが撤去され、庭の状態が変化。縁側からの景色も雰囲気も変わってしまいました。
頑固で厳格だった祖父。子供たちに注意をするも、孫たちに声を荒げることもなく、
一代で苦労し頑張って作り上げてきたものを、あっさり撤去してしまったのです。
そこには、深い愛があったから...
物より人が大事なのは当たり前。のはずが、
自分の持ち物に執着し過ぎ、人間関係を犠牲にしてしまっている人も少なくない。
確かに物を集めるのが好きなのも悪くないし、高級品などそれは財産だとも思う。
ただ、物に支配されないように気をつけたい。
最近気づいたのだけど、祖母の形見を無くしてしまった模様。でも思い出は残っている。
所有物を全て失っても、人(この世に一人の人間)がいれば、世界が終わるわけではない。物はモノ。
とは言え、モノに対し、ぞんざいな扱いをする人は尊敬できません。
ある人もそう言っていました。